医療法人社団 榎会 榎本クリニック医療法人社団 榎会 榎本クリニック

クリニックについて

新大塚榎本クリニック

1. 診療時間・アクセス 主な診療内容

診療時間
日祝
午前
の部
10:00〜12:00
午後
の部
14:00〜17:00
夕方
の部
18:00〜20:00

※初診の方は予めお電話にてご連絡を頂いてからご来院下さい。
※混雑状況によっては、少しお時間を頂く場合もございますのでご了承ください。

アクセス

新大塚榎本クリニック

〒170-0005 東京都豊島区南大塚3丁目11-9
TEL 03-6907-8061

専門外来
  • アルコール外来
  • 発達障害外来
  • 児童・思春期:老人外来
デイナイトケアセンター

2. 理事長あいさつ表示する

現代社会のニーズに
応える必要がある

医療法人社団 榎会 / 医療法人社団 明善会
榎本グループ会長 / 医学博士 / 理事長

榎本 稔

日本社会の20世紀は激動の世紀であった。世紀の前半は、日露戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦と「戦争の時代」であった。

第二次大戦後、日本社会は「混乱と再建の時代」(昭和20年代)を経て、「高度経済成長と安定化の時代」(昭和30年代)となった。40年代には「激動と多様化と国際化の時代」を通り、50年代には「バブルと不確実性の時代」に突入し、豊かな社会における社会病理が噴出し、反省と模索の時代を迎えた。平成期に入り、バブル崩壊とともにデプレッション(経済的には不景気、社会心理的にはうつ病)の時代に陥り、自信を喪失し、方向舵を失い、先行き不透明の霧の中に、日本社会は迷い込んでしまったのである。現代社会は大量生産、大量消費の豊かな社会となり、大衆社会現象を露呈するに至った。マスメディアとパソコンと携帯電話の異常な発達により情報が氾濫し、情報化社会を現出した。社会機能の専門家・細分化が進展し、各集団間の衝突と分裂をきたし、調和を欠いたアモルフでアノミーの状態を呈するようになった。

現代人は多数の集団に分属し、自己の内部においても、分裂した不統一の人間像を呈し、孤独で著しく不安定な状態に立たされているのである。男女の人間的表現と自己主張、個人の主体性を尊重する現代家族は、統一体としての家族意識が希薄化し、その都度、結合・離散する、合理的で機能的で個性的な、砂糖菓子のような存在に変質してきている。多様化した価値観の中で、方向性を失い、疎外され、生き甲斐を喪失し、空洞化した心をもつ現代人には、相談やカウンセリングや精神療法が必要となっているのである。

21世紀は「心の時代」ともいわれているが、開幕早々、米国の同時多発テロ、アフガン戦争、イラク戦争(文明の衝突?)などさまざまな事件が相次ぎ、「不安な時代」となっている。このような激動の時代に、心のバランスを失い、心の問題や悩みや病気を抱える人々は数多くいると推測される。人々は心の癒しを求めて、ある人はスポーツに励み、グルメを楽しみ、ある人は健康食品を求め、大衆薬や精神安定剤を服み、喫煙し、酒を飲み、はたまたギャンブルにのめり込んだり、新々宗教に救いを求めたり、人(親、子、男性、女性)に依存したりしている。さらには街の中のフリースペースに出かけたり、相談やカウンセリングに通ったり、診察室を訪れたりしている。このように、人々はさまざまな「癒し行動」をとっているが、それらが種々の「マーケット」となって、多くのボランティアとビジネスと新しい外来精神医療を生み出しているのである。

最近、不登校、中退者、社会的引きこもりの若者たちのための、民間のスクールビジネスが静かに台頭してきている。ここ十数年来、小・中・高校生数は年々減少傾向にあるが、小・中学生の不登校生徒数は毎年増加傾向にあり、役14万人を示している、高校中退者数は約11万人にのぼっている。さらに社会的に引きこもり・ニートは100万人以上いると推測されている。これらの受け皿として、フリースクール、通信制サポート校、技能連携校、全寮制高校、大検予備校等がある。社会的引きこもりに対しては、寺子屋塾、生活塾、若衆宿などがあり、全国で約1,000ヶ所に開設され、数十万人の若者たちを受け入れ、共に歩み、彼等の成長・成熟を見守り、サポートしている。さらにアディクションの精神病理としての摂食異常、リストカット、買い物依存症、ギャンブル依存症、アルコール・薬物依存症、児童虐待、少年期の犯罪(親殺し)、ドメスティックバイオレンス、恋愛依存症、セックス依存症等々、若者たちの「心のひずみ」は相当深刻な状況を呈している。これらの問題(現代病)に対してさまざまなアプローチ、相談、治療が試みられているが、今のところ有効な方法論や結論は得られていない。

今後、新しい方法論、相談技法、治癒論、受け皿を創意工夫し、展開していく必要がある。すべてはこれからである。われわれは「医の愛」を高く掲げて、精神医療・福祉・教育・生活のトータルケアをめざして、雄飛しようとしている。榎本グループの前途は洋々茫々として、希望と夢に満ち溢れている。

プロフィール
昭和10年 東京都板橋区生まれ
昭和36年3月 東京医科歯科大学医学部卒業
昭和44年4月~昭和50年7月 成増厚生病院副院長
昭和50年8月~昭和56年8月 山梨大学保健管理センター助教授
昭和56年9月~昭和63年7月 東京工業大学保健管理センター助教授
昭和63年8月~平成4年2月 東京工業大学保健管理センター教授
平成4年8月 榎本クリニック開院
平成9年3月 医療法人社団榎会 榎本クリニック開院
現在 医学博士 社会精神医学専攻
元東京工業大学教授
拓殖大学客員教授
日本「性とこころ」関連問題学会理事長
日本外来精神医療学会名誉理事長
日本精神衛生学会理事
日本デイケア学会理事
全日本断酒会連盟顧問
東京都精神障害者家族会連合会相談医
東京池袋ロータリークラブ会員
政経同志会幹事
著書紹介
  • かくれ躁うつ病が増えている なかなか治らない心の病気

    かくれ躁うつ病が増えている
    なかなか治らない心の病気

    2010年
    法研

  • 依存症がよくわかる本

    依存症がよくわかる本

    2007年
    主婦の友社

  • アルコール依存症 回復と社会復帰

    アルコール依存症
    回復と社会復帰

    1992年
    至文堂

  • アルコール・薬物依存症者に 出会ったとき

    アルコール・薬物依存症者に
    出会ったとき

    1992年
    エイド出版

  • テキストブック アルコール依存症

    テキストブック
    アルコール依存症

    1996年
    太陽出版

  • にがい宴 女性のアルコール依存症

    にがい宴
    女性のアルコール依存症

    1992年
    太陽出版

  • こうして酒を断っている アルコール依存症からの復帰

    こうして酒を断っている
    アルコール依存症からの復帰

    1989年
    太陽出版

  • お父さんお酒をやめて アルコール依存症克服の軌跡

    お父さんお酒をやめて
    アルコール依存症克服の軌跡

    1990年
    太陽出版堂

  • 医者と患者

    医者と患者

    1992年
    平凡社

  • 現代のエスプリ 性とこころ - 女と男のゆくえ

    現代のエスプリ 性とこころ
    - 女と男のゆくえ

    2000年
    ぎょうせい
    榎本稔 編著

  • 榎本稔 著作集 Ⅰ

    榎本稔 著作集 Ⅰ

    2005年
    日本評論社

  • 榎本稔 著作集 Ⅱ

    榎本稔 著作集 Ⅱ

    2005年
    日本評論社

  • 榎本稔 著作集 Ⅲ

    榎本稔 著作集 Ⅲ

    2005年
    日本評論社

  • 榎本稔 著作集 Ⅳ

    榎本稔 著作集 Ⅳ

    2012年
    日本評論社

3. 院長あいさつ表示する

榎本クリニックの医療について

新大塚榎本クリニック 院長

松田 隆夫

【欧米の歴史】
言うまでもなく精神科医療は残酷で悲惨な過去を持っています。特に欧州においてはキリスト教の流行とともに、精神障害は悪魔の仕業であるという考え方が広がり、精神障害者は地下牢に閉じ込められたり火あぶりにされたりしていました。有名なジャンヌダルクの処刑もこの流れの中にあります。このような考え方は近代欧州で二転三転はしましたが現代もなお、精神障害に対する偏見という形で欧米に強く根を張っています。

【日本の歴史】
一方、我が国においては事実はむしろ逆で、古来、精神障害者は慈悲の対象でありました。聖徳太子の頃から悲田院や施薬院という形で、江戸幕府では小石川養生所という形で、我が国は広く障害者を保護する政策があり、民間でも障害者を隔離幽閉するという考えよりは自然にあるものとして村社会で共生することが多かったのです。ところが明治33年に西欧に倣った精神病者監護法が成立して以来、我が国でも精神障害者は隔離すべしという考え方が流布し、更に昭和39年に精神衛生法の拡大解釈という形で精神障害者の強制隔離政策が進みました。話は逸れますが、この拡大解釈が良識あるべきマスコミの『野放しの精神病者』報道の後押しによってなされたということも忘れてはいけません。ともあれこの2大悪法ともいうべき法制定は我が国の精神科医療史の汚点であり、現在もなおその弊害に、精神障害者とされる人たちはもちろんのこと、私たち関係者だけでなく日本という社会全体が苦しんでいるという現実を、私たちは胸に刻むべきです。ハンセン病(らい病)療養施設という強制隔離政策や優生保護法による強制堕胎政策などと共に、我が国の医療史の暗い闇です。因みに、何れも現在では大きな反省と共に改革改善が進行しています。ハンセン病は平成8年に漸く、らい予防法が廃止されました。優生保護法も母体保護法として見直しが進んでいます。精神障害者の隔離政策については、国連の介入により昭和62年に制定された精神保健法が、入院中心の「治療」から地域生活中心の治療を優先するように謳っています。

【仏作って魂入れず】
最初、専門家の試算では少なくとも7万人、大きく言えばなんと20万人近い退院可能患者(これを『社会的入院』といいます)がいるとされました。ところが当時の35万人近い精神科病院入院患者数は、それから30年という年月を経た今もなお30万人にとどまっています。運良く退院できたのは5万人だけ。これが何を意味するのか、私たちはよくよく考えたいと思います。精神科病院が経営のために退院させるのをためらっているのでしょうか。違うと思います。退院させたくてもできないのです。第一に、家族も地域社会も彼らを受け入れようとしないというとても悲しい現実があります。退院しても住む家がない。支える人がいない。日中の居場所がない。誰もそういう受け皿を作ろうとしない。巨大な障壁です。現代社会にのさばっている偏見です。第二に、患者の側の事情もあります。精神科の入院患者の多くは日常生活のノウハウを持っていません。ゴミ出しが分からない、洗濯ができない、食事の手当てが分からない、金銭管理ができない。切符の買い方さえ分からないという大きなハンデ。しかも周囲の白い目にさらされているという現実。つらいと思います。苦しいと思います。さて、どうすればいいのでしょうか。

【榎本クリニックの誕生】
このような歴史の中で榎本クリニックは、社会的入院患者を地域社会に迎えるべく、デイケア中心の精神科医療施設として平成4年に生まれました。患者の地域生活を支えるために、大家さんを説得してアパートを確保することから始めて、日常生活を細かく、細かく支援してきました。他の精神科医療施設がなかなか手を出せないでいる困難な問題に、とても困難な故に何度も歯噛みしつつも、職員一丸となって取り組んできました。

【新たな問題発生】
このような取り組みの中で、私たちは別の問題にぶつかりました。すなわち、以前であれば入院隔離することで「解決」していた問題が、精神科病院の入院基準が厳しくなったがために入院という解決策を失い、その結果、現場の地域住民や家族、あるいは保健所、役所の関係部署や警察消防などが、行き場を失った精神障害者の多くを抱え込まざるを得ない状況に追い込まれているという現実に直面しました。十年以上にわたる引きこもり、ゴミ屋敷問題、隣近所への騒音等の嫌がらせ、繰り返す万引きや放火など、精神障害が絡んでいるトラブルは多岐にわたります。いつ孤独死してもおかしくない一人暮らし問題というのもあります。なるほど安易に入院させれば済むという問題ではありません。パーソナリティ障害やギャンブル依存、性依存、薬物依存、アルコール依存などのアディクション問題、あるいは妄想性障害や認知症、高次脳機能障害、発達障害などが原因となって、平穏な地域社会生活を脅かすことになっているようです。このような地域社会の抱える問題に対し、私たちは地域の関係者・関係機関の方々と共に取り組むことにしました。

【問題の根源】
このような取り組みの中で、見えてきたものがあります。精神的な孤立ということです。地域社会で問題視されている人たちは多くが精神的に孤立していました。現代社会の弊害でもあります。孤立する中でむやみにもがいているさまが、周囲からは迷惑扱いされているのです。そして適切な援助の不足が原因となって、さらなる誤解と偏見を招く行動を引き起こし問題は肥大化しています。私たち榎本クリニックの職員は孤立し苦しむ彼ら彼女らの最初の良き友となるべく努力しています。ただこの努力は反発されることも多く、誤解されることも多く、なかなか健全な社会復帰まで繋がらないのが現状であることは認めざるを得ません。嬉しい社会復帰がある反面、努力もむなしく問題行動が続いたり、最悪、死亡という結果を見ることも稀ではありません。であるからこそ、私たち榎本クリニックの職員には更なる努力と工夫が求められています。

【私たちの願い】
私たちが望むのは、精神科医療における在宅治療の拡大と充実、そして精神障害者の少しでも快適な地域社会生活の広がりです。そのために日夜、研鑽を重ねるべく、学会に報告し専門の先生方のご意見を頂戴する努力をしています。病院を広く公開し、地域の方々のご理解を得る努力をしています。一年に十数回もの無料講演会を開催し、精神障害に対する偏見が少しでも軽減するよう地域社会に働きかけています。精神障害者をめぐる住民のトラブルがあれば、無料で相談に応じています。

私たちはいつの日か、精神障害者にノーマライゼーションすなわち普通の生活が実現することを信じ、目の前にあるバリアを一つ一つ取り除く努力を惜しみません。